母と私のブルース「本を読む、ということ」

母と暮らすために二度の引っ越しをしてやっと元の家に落ち着いたわけですが、
引越しを機の断捨離で一向に進まなかったのが本の処分です。
今時電子図書もあるのだからとも思いましたが、
本棚がありそこに思い出と共に収まっているのだから無理に捨てなくても良いではないかと残してありました。

この本が役に立ちました。

母は若い頃から読書家でした。
とにかく片っ端から読む、図書館から借りてきたり、兄や私たちが読んだ本も好き嫌いなく手にとって読んでいました。
同じくなんでも満遍なく大量に読む亡き夫と読んだ本の話で盛り上がっているときは
特に読書好きではない私は蚊帳の外でした。
同じく読書好きの兄がKindleにいっぱい入れてプレゼントして、どこにいくにも持ち歩いていました。

しかし、2年ほど前から読書をしなくなってしまったのです。
借りてきた本も放置、Kindleは充電切れの状態、
手に取った文庫本も一向にページが進まなかったり、本だけではなく、ドラマや映画も興味を失いただつけているだけで内容を追っていない様子でした。
去年兄の住む街に引越したとき、兄が真っ先に連れて行ったのが図書館でしたが、借りてきた本も並べるだけで全く読みませんでした。
読書に興味を失っていることを知らなかった兄はひどく落胆していました。
悲しいけれど仕方のないことなのかなと、本を読むことを促すことも諦めていたのですが…

先日、仕事から帰ってくると「珍妃の井戸」を寝っ転がって読んでいて、
「あんた、この本読んだの?これは面白いよ」と。
浅田次郎の蒼穹の昴続編、もちろん読みましたとも!
そして昔、蒼穹の昴は私が勧めてお母さんも読んだじゃないの、と本の話題で話が弾みました。
蒼穹の昴シリーズは一時期仲間内でとても盛り上がり、中国北京まで本の足跡を辿る旅をしたほどでした。
旅行好きの父と共にあちこち旅をしていた母も当然、紫禁城も珍妃の井戸も見ていて、
「あの小さな井戸」をめぐる珍妃やあの時代に生きた人たちの話で盛り上がりました。
もう一度蒼穹の昴も読みたいねぇ、中原の虹も読まなきゃだよ、あぁもう一度紫禁城に行ってみたいねぇ〜

本棚に何気なく並べていたこの本、
処分しなくて本当に良かったです。
そしてこの本の話をしているときに夫もそばにいて一緒に盛り上がっている気がしました。

また興味を失ってしまうのかもだけど、それも当たり前のことなんだと思います。
興味を持ち追及したり、急にそれらがつまらなくなり一切やめてしまったり、そんなことの繰り返しで生きているんだなぁと思います。
それは老いたからではなく、ずっとずっと子供の頃から繰り返し起こっていることなのです。
歳を重ねると共に子供の頃のピュアな状態に戻るのだとしたら、
なんのしがらみも義務感もなく、
純粋にやりたいこと興味のあることだけを追い求めていく、
素晴らしいことじゃないかと、なんだか嬉しくなったのでした。

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