母と私のコンチェルト:7 脳トレという言葉って…

母は読書家だった。
兄が買ってあげたKindleに色々入れて、古典からドキュメンタリーまでいろんな分野の本を読みあさっていた。
長年兄が暮らすこの街へ引っ越してきてまず、兄が案内したところは図書館で、ネットから本をリクエストできる手続きも真っ先に登録した。
しかしながら、最近なんとなく気がついていたけど、本を読むことが減り、そもそも読みたい本がなくなってしまったようだ。案の定、本を借りたいと言うこともなくなり、こちらから促してやっと読むようなかんじである。
介護仲間の話では、だんだん内容を追えなくなっているのではないかとのこと。
テレビドラマも新しいものは興味持たず、昔見たものは懐かしがって楽しんでいる。本も昔ハマったものを再読する方がいいのかもしれないと思った。

母には読書の他にも多くの趣味があり、本がダメなら他はどうだろうかと、最近、手芸を勧めてみた。
布や毛糸など、いっぱいあるので、先週私が仕事でいなかった日にそれらを出して置いていったら、出来あがっていたのがこの写真。
古い帯を使ったテーブルセンターだ。
潔く2つに切って、半分は和室の座卓用になっていた。切っただけで、端を縫ったにすぎないけど、沢山の布の中からこれを選びリメイクしたセンスはさすがだな。
雨模様の昨日作ったのがこの携帯用座布団。観劇など硬い椅子に座る時に持っていくそうだ。
太い糸のガーター編みなので厚みがあり座り心地がいい。
素材を見て役に立つ物を創作していく、これこそ今の母に合った脳トレなのかもしれない。

いや、脳トレという言葉は好きじゃないんだ。

これは母の人生の中で培ってきた財産なのだから。

針仕事は糸を通す事が困難なので、昔のようにお人形の洋服作ったり、小物を作るのは厳しいかもだけど、編み物は本やお手本を見なくてもすらすら創作できるのだから大したものだと思う。確かに昔に比べて腕は落ちたのだろうけど、古い布や毛糸を無駄にすることなく生活に役立てるといった心は私たちも受け継いでいきたいとおもう。ちなみにこの毛糸は昔、娘がマフラー編むと言ってやらずに放置していたものだ。
私も一緒にレース編みに挑戦してみたけれど、細かすぎるし、すぐに飽きるし、無理かもしれない…
昨日は孫たちに手紙も書いていた。
メールはできないけれど、時々孫や親戚、友人に手紙を書くということ、人間の美しい文化を続けていくことは素晴らしい。
忘れてしまった漢字も多く、思いがけないような誤字脱字もあり、書きながら一人で苦笑してたりもするけど、パソコンやスマホに依存していて書く行為が減っている私よりすぐれている。
わざわざ脳トレというくくりにしなくても、その時にやりたい事を見つけて、その時にできることを、できる範囲でやっていく、そのやりたいことは、きっと今まで生きてきた人生の中から生まれてくるんだろうなぁ。
人生をどう生きるか。人生の終盤をどう生きるのか。
それはどうやって生きてきたか、自分自身の人生の軌跡なんだなぁ。
私自身、とても考えさせられるのであった。

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