君がいたから〜二人の闘病記3「初めての手術。赤い薔薇とまさかの麻酔が……」

其の三「初めての手術。赤い薔薇とまさかの麻酔が……」


がん宣告を受けたのが2月の終わり。クリニックの担当のO先生がJ医大消化器内科の先生という事もあり、すぐにJ医大に行くことになった。

担当してくださるのは凄腕と評判らしいI先生のチーム。早々に手術日程が誕生日前日4/1日に決まった。

何がなんだかわからないうちに、色々な検査を受け手術計画が進められていった。自分でも大腸がんの事を検索し始め、大きく開腹しなくとも、腹腔鏡手術という道もある事を知る。そして、ストーマ(人工肛門)になる可能性が高い事も知った…

当初開腹手術でいく計画だったけど、I先生に腹腔鏡手術はできませんか?と聞いてみたら、先生は目を輝かせて、「やってみますか!」と。

まだ大腸がんでは術例が少なかったそうで、先生も腹腔鏡手術を試してみたかったのだろう。それに患者からお願いされたんじゃ、願ったり叶ったりという感じだったのかな。

私はただ単純にバッサリ切るより傷は最小限の方がいいなぁ、傷も誰にも気がつかれないかもしれないし、早く退院できるかもと思っただけだったのだが。

入院は手術一週間前。

それまでの間に私たち夫婦はお互いにあれこれ検索しては話し合った。がんのステージが低ければ生存率も高いのだと、なるべくポジティブに考えるように、夫はいつもの明るさで支えてくれた。

入院後は腸閉塞防止と痩せましょうという事で流動食に。生まれて初めての食事制限は辛かった…検査がある以外は特にする事もなく、かといって貧血もひどいので運動も制限されベットで本を読みまくっていた。同室の方々は皆さん術後や抗ガン剤治療中で起きる事も話す事もままならない状態でとても静かな病室だった。

事務所から近い事もあり夫は毎日顔を出してくれた。

そして手術前日、夫が大きな赤い薔薇の花束抱えてやって来た!香りが病室中に広がり同室の方々も喜んでくれた。夫に花束をもらったのは初めてだった。「赤い薔薇抱えて歩くのちょっと恥ずかしかったぞ」と言ってたっけ。そしてその後、赤い薔薇が彼のトレードマークになるとは…

教授も交えての手術説明と色々な同意書にサイン。その後麻酔科の担当の先生が硬膜外麻酔の説明にやって来た…その硬膜外麻酔が…

手術当日、病室からベットで運ばれるのかと思っていたら、手術室前まで夫と二人で歩いていってドアの前で「じゃあね」「行ってらっしゃい、がんばれよ」と短い言葉を交わし、別れた。

そこからはまな板の上の鯉状態。

全身麻酔から覚めても硬膜外麻酔が効いているから全く心配ないですよ、と言われ安心して身を任せた。

どのくらい時間が経過したのか全くわからず不意にぱつんと目覚めた。誰かが声を掛けてるのが遠くに聞こえ、またそのまま眠りに落ちていった。

次に目覚めたのは病室。今まで経験したことの無いような激しい痛みを伴った目覚めだった。

夫がそばにいたので「痛い…」と打ち明ける。

「多少の痛みは仕方ないよ、がんばれ」と。

しかし痛みはその晩もおさまることなく、冷や汗をかきながら痛みで気を失うようにうつらうつらと夜を明かした。

朝また来てくれた夫が私の異変に気付き看護士さんに伝えてくれる。最初は「痛みは強く感じる人もいますからね」と相手にされなかったが、夫が「こんなに痛がってるのにおかしい」と何度か伝えてくれて、婦長さんが見に来たらなんと、硬膜外麻酔が効いていない事が判明する。どうやらちゃんと刺さっていないようだ…

「あら大変…よく我慢できたわね…」と…

もう硬膜外麻酔をやり直す事は出来ないので点滴で痛み止めを入れることになった。効果は低いため痛みはあると思うけどがんばってくださいと言われた…この時、切腹ってこんななんだろうなぁ…武士は大変だったなぁ…とぼんやりと思ったっけ。

こうして人生初めての手術はかなり痛い思いをしたけれど、綺麗に患部も取り除かれ、かなり深く腸壁に広がってたものの、とりあえずステージ2と診断され、痛みも喜びに変わったのだった。

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